2018.09.20

「そんなものに負けてたまるか」
西武の石毛宏典はID野球に反発した

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi

――先ほど話にも出ましたが、当時の石毛さんはプロ12年目の36歳、13年目の37歳でした。当然、チームリーダーとしての自覚は持っていましたか?

石毛 まさに、当時はハッキリとリーダーの自覚はありましたね。ただ、グラウンドでは、それぞれが個人事業主の集まりだし、秋山(幸二)、清原(和博)、デストラーデが主役ですよ。もちろんグラウンド外では先輩後輩の上下関係はありましたが。・・・・・・でも、そもそも俺は「プロ野球にチームワークはいらない」って考えなんですよ。

――「プロ野球にチームワークはいらない」。その理由は?

石毛 アマチュア時代ならばチームワークは大事です。監督や先輩が絶対で、自己犠牲もいとわない。でも、プロの世界というのは、さっきも言ったように個人事業主の集まりだし、先輩や後輩はいたとしても、たとえば俺が清原の給料を出しているわけでもない。みんな個々の成績や数字に執着するわけですし、俺はそれでいいと思っています。

 でも、日本シリーズだけは別なんです。日本シリーズでは、自己犠牲も、チームワークも必要になってくる。みんなアマチュア時代にそういうことを叩き込まれた期間があるだけに、シリーズ中だけは一過性のチームワークが芽生えるんです。

――当時、ペナントレース中のライオンズにはチームワークはなかったんですか?

石毛 チームワークはなかったですよ。それぞれが自分の仕事をするだけですから。でも、チームワークはなくても、仕事に対する責任感、使命感はみんなが持っていましたね。レギュラーを張ってる人間は給料が高く、裏方さんを含めた多くの人の生活も背負っている。たとえば、清原は二日酔いでグラウンドに来るときがあったんですが、そんな姿を球団職員や裏方さんが見たら、「何だ、コイツ」となるわけです。そういうときには、俺も注意はしますよ。「キヨ、飲んでもいいけど、試合だけはちゃんとやれよ。みんなの生活がかかっているんだぞ」って。でも、それはチームワークではないです。

――チームワークよりも、個々が抱いていた責任感、使命感が大きかったということですね。

石毛 そうです。責任感や使命感は原動力になるし、自分を律する糧にもなりますよね。