今季ベイスターズは「迷ったらゴー!」。
スーパーカー以来の走塁革命 (2ページ目)
今シーズンの走塁意識の変化について、一塁ベースコーチを担当する上田佳範コーチは次のように証言する。
「以前から、ラミレス監督は走塁に対する意識がすごく高かった。それが今年になり、思いきり行動として表れるようになってきました。だから、急に思いついたものではなく、かねてからしっかりと準備してきたことなんです」
劇的な変化というよりは、緩やかな進化というべきだろうか。いずれにしても、チームとして徹底できるようになった背景には、それだけ選手層が厚くなったことがあるのは言うまでもない。
「走塁に対するチームの姿勢としては、失敗を恐れず、次の塁を常に狙うということ。ただ、どうしてセーフになったのか、あるいはどうしてアウトになったのかを追求しなければいけません。セーフになったとしても、スタートが遅ければ改善しないといけないですし、アウトになったとしても選手が100%のことをしてだったら絶対に責めたりしません。僕らとしてはアウトになろうが、選手の判断を信じて背中を押すしかない」(上田コーチ)
4月13日の中日戦で印象的なプレーがあった。3回の攻撃で、左中間へフライが上がると、一塁走者の倉本寿彦は外野手の捕球体勢が乱れるのを予想してタッチアップを敢行。見事、セーフとなりチャンスを広げた。
決して俊足の部類には入らない倉本だが、「あの場面は狙っていたし、上田コーチの『ゴー!』という言葉に背中を押されました」と語っている。
このシーンを上田コーチも振り返る。
「基本的に迷ったら『ゴー!』です。監督からもそういった判断でいいと言われていますし、難しいところですが『迷ったら行け』という姿勢でやっています。それが今年の戦いに表れているんじゃないですかね」
そんなDeNAを象徴する存在が、ルーキーの神里だ。序盤戦で不振だった桑原将志に代わり、リードオフマンとして上々の活躍をみせており、現在、8盗塁はリーグトップである。神里について、ラミレス監督はこう高く評価する。
「バッティングはシャープだし、選球眼がいい選手。なにより盗塁技術が素晴らしい」
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