これでは広島に勝てない。名コーチが見た
阪神・巨人打線の致命的欠点 (2ページ目)
見た限り、内角に強いストレートを見せて、外角のストレートかスライダーで打ち取るというのが基本パターンだろうか。少なくとも外角のスライダー系のボールは、まだ対応しきれていない印象を持った。
同様のことは、阪神の新外国人・ロサリオにも当てはまる。パンチ力があり、甘い球をきっちりとらえるバットコントロールはキャンプのときから変わらない。ポテンシャルだけでいえば、20~30本塁打を打つだけのパワーと技術はある。
ただ、外角の球に脆さがある。それはスイングを見ればわかるが、巨人はその欠点である外角を意識して攻めていなかった。当然、巨人バッテリーにはスコアラーからもデータは入っていたはずだ。だが、開幕カードではあえてオーソドックスな攻め方に終始したように思えた。
3戦目に野上亮磨が甘く入ったスライダーをレフトスタンドに叩き込まれたが、あれは打たれても仕方のないコース。巨人にしてみれば「このコース、高さの球は打つ」とわかったことは収穫だったに違いない。
ロサリオに関して気になったのは、ボールを叩く直前に軸足である右足をうしろに引く動作だ。これは体重が前にかかりすぎている証拠で、できるだけ早く直した方がいい。キャンプ中は見られなかった動きだが、この打ち方だとボールをしっかり叩けても体重が乗り切っていないから失速してしまう。今後、修正できるか見ものである。
両チームとも彼らをはじめとした中軸が打てば得点は入るが、逆に彼らが打たないと脆い。つまり、巨人と阪神の"欠点"というのは、打線のつながりの乏しさである。
巨人は2番に入る吉川尚輝が新戦力として注目されているが、つなぎ役タイプの選手には見えない。小技を使って仕掛けてくるというよりは、打ってチャンスを広げるタイプなのだろう。
もともと巨人というのは、7番までにいかに得点を挙げるかという打線だが、今季もゲレーロなど新戦力が加わったとはいえ代わり映えしない。このままでは競った試合をことごとく落とした昨シーズンの二の舞になる可能性がある。
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