2018.04.08

これでは広島に勝てない。名コーチが見た
阪神・巨人打線の致命的欠点

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

名コーチ・伊勢孝夫の「ベンチ越しの野球学」連載●第23回

 ついにプロ野球が開幕した。今シーズンのセ・リーグは、戦前の予想では3連覇を狙う広島が頭ひとつ抜けているというのが、評論家たちの見方だった。では、その広島を追うチームはどこなのか。奇しくも、その候補に挙げられている巨人と阪神が開幕カードで対戦した。はたして、この両チームは広島の強力なライバルとして台頭することができるのだろうか。名コーチとして鳴らした伊勢孝夫氏の目に、巨人×阪神の開幕カードはどう映ったのだろうか。

(●第22回>名コーチ怒る!「注目ルーキーの敵は、打撃ケージに群がる評論家だ」)

開幕スタメンを果たした成長著しい4年目の巨人・岡本和真

 結論から言えば、両チームとも広島と優勝を争うだけのチーム力は十分にある。だが、開幕3連戦ではともに欠点も目立ち、このままでは”広島のしっぽ”をつかむのが精一杯で、なかなか引きずり下ろすまでには至らないのではないだろうか。

 もちろん収穫はあった。巨人ではなにより岡本和真の成長だ。キャンプでも見たが、そのときより数段スイングがシャープになっていた。印象的だったのは3月31日の開幕2戦目の6回、藤浪晋太郎の真ん中高めのストレートを振り負けずにレフト前に弾き返した一打だ。うまくバットのヘッドを立てた”技あり”の安打だった。

 また8回には、藤川球児のフォークをうまく拾ってレフトスタンドに放り込む本塁打。こちらはややボールが甘かったとはいえ、これも技あり。藤浪の高め、藤川の低めと”高低”をしっかりとらえられている点が素晴らしい。

 岡本の好調はしばらく続くと思うが、問題は2周(まわ)り目の対戦になったときだ。相手バッテリーは最初の対戦である程度、岡本の得意なコース、球種を把握するはずだ。それを踏まえた上でどのような配球で攻めてくるのか。

 その兆候ともとれるシーンが開幕カードにあった。たとえば3戦目の8回、阪神の石崎剛に三振を奪われたシーンだ。150キロ台のストレートと130キロ台のスライダーを投げ分けられ、最後は抜け気味のスライダーを見逃し三振。一瞬、体は反応したが、ピクッと止まったところをみると外角のストレートを待っていたのかもしれない。要するに、手が出ない見逃しだった。