「井の中の蛙」だった菊池雄星。残されたハードルを越えてメジャーへ (4ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • 小池義弘●撮影 photo by Koike Yoshihiro

 開幕1週間前、最後のオープン戦登板で新球をいきなり試すことができるのは、それほど調整が順調という余裕からだろうか。そう聞かれた菊池の目は、開幕よりはるか先を見据えていた。

「1年通して、どれだけやるかなので。開幕も当然100%の力を出すことには変わりないですけど、1年間でどれだけの力を出せるかと考えたときに、シーズン中にも(いろいろ)試すことはあると思います」

 今季、菊池は200イニング登板を目標に掲げている。昨年は1年間先発ローテーションを守り、26登板で187イニング3分の2を投げた。そのうちクオリティースタートに失敗した2回――敵地でのソフトバンク戦での投球を改善し、試合終盤まで投げることができれば、自然と目標に近づいていく。そうすれば、球界最高投手に贈られる沢村賞も見えてくる。

 日本球界という井の中で、蛙に残されたハードルは打倒ソフトバンク、大事な試合で勝利に導くエース、そして沢村賞だ。

 鶴や亀と同じく、蛙は吉兆を呼ぶとされている。菊池が日本球界で蛙として最高の進化を遂げ、チームに優勝という最良の結果を運んできたとき、誰もが万雷の拍手とともに、大海原への挑戦に送り出すはずだ。

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