稲葉ジャパン、東京五輪の秘密兵器は「アップルパンチ&キン肉マン」 (2ページ目)
今回選ばれた28人のうち、投手では千賀や則本昂大(楽天)、松井裕樹(楽天)、野手では柳田、筒香、菊池涼介(広島)、田中広輔(広島)、秋山翔吾(西武)は球界トップレベルの中核メンバーだ。選外では菅野智之(巨人)、坂本勇人(巨人)、山田哲人(ヤクルト)など、実績のあるメンバーが控えている。
そうしたなかで今回選ばれたU24組に期待されるのは、国際舞台で勝つために必要となる"スパイス"だ。稲葉監督の言葉を借りると、野手では「対応能力、複数ポジションを守れること」、投手では「分担された役割を担えること」。つまり野手ではマルチロール、投手ではスペシャリティ性を発揮できる、いわば「秘密兵器」のような存在である。
野手の筆頭候補は、大卒4年目の外崎だ。ショートとして入団した右打者はセカンド、サードに加え、昨年は主に外野で起用されてブレイクした。2017年シーズンに10本塁打・23盗塁とパワー&スピードを兼ね備える点は稲葉監督の評価ポイントにかない、アジアプロ野球チャンピオンシップでMVPに輝いたように勝負強さも備える。
加えて光るのが対応力だ。同大会決勝の韓国戦では0-0で迎えた4回、無死一、二塁からライトフェンス直撃の先制タイムリーを放った。バントのサインを出さなかった理由について、稲葉監督はこう答えている。
「セカンドランナーが山川(穂高)選手で、正直そんなに足が速くない。一、二塁ではフォースアウトがあります。外崎選手が(大会前の)宮崎合宿からずっと右打ちをうまくてやってきましたので、進塁打にかけようと思いました」
こうして指揮官のハートを掴んだ外崎には、ファンからの"愛され力"もある。平昌五輪ではカーリング女子日本代表の「そだねー」「もぐもぐタイム」が流行語になったが、昨年のアジアプロ野球チャンピオンシップでは外崎が打棒を炸裂させるたびに、「アップルパンチ」とファンはツイッターでつぶやいた。実家がりんご園を営むことから「リンゴスター」と西武ファンから親しまれる外崎は、オリンピックで愛されるキャラクター性も十分に備えている。
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