畠山は引退危機から救われた。監督・コーチ・選手が語る「青木効果」 (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 福地コーチにとって青木は年下ながら「恩人といっていい」という存在である。現役時代の2008年に、西武からヤクルトへ移籍してきた福地コーチは、バッティングに関してすぐに青木にアドバイスをもらいにいった。その成果が出て、レギュラーへの道が開けたという。

「春のキャンプで、青木の横にいって『こうやるのか?』『そうじゃないですよ、こうです』っていろいろ教わりました(笑)。特に若い選手は、青木の動きを見て『こうやってるんだ』という意識が芽生えると思います。決して『スゲー』だけで終わらずに、思い切って踏み込んで聞いてほしい。そうすればアイツは一緒になって練習してくれますよ。ただ、バッティングは人によって感覚が違います。特に青木の感覚は独特なので、その入り方や受け取り方を間違えなければ、選手にとって大きなプラスになると思います」

 一方、選手たちは青木とともに練習をして何を感じたのか。キャプテンの中村は「青木さんが来られて、その存在感にチーム自体が盛り上がりました」と笑顔で語った。

「青木さんには『何かあったら手助けするから』と、声をかけてもらいました。頼もしい存在ですよね」

 若手の山崎晃大朗は率直な気持ちを吐露(とろ)した。

「青木さんのヤクルト入団の記事が出たのは、たしか1月30日の朝ですよね。なんていうんですかね、ちょっと落ち込んだというか。突然、巨大な壁が目の前に現れたというか......。去年は59試合に出させてもらい、今年は雄平さんが戻ってくるなかで何とかレギュラー争いに食い込みたいと思っていた矢先のニュースでした。でも現実を受け止め、自分のすべきことをやるしかないですし、今はマイナスとは考えていないです。このキャンプでは時間があれば青木さんの練習を見ています。自分とはここが違うんだなって......ひと目でわかるぐらい、全然違っていました」

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