早くも4番・サード。安田尚憲の
「ミスターロッテ」への道がはじまる
プロ野球キャンプも終盤に入り、各球団のポジション争いも本格化してきた。近年はキャンプ期間中でも実戦が重視されるようになり、各チームともオープン戦の前に練習試合を多数組むようになった。
沖縄・石垣島でキャンプを張る千葉ロッテマリーンズは、2年前から台湾の人気チーム、ラミゴ・モンキーズと「アジアゲートウェイ交流戦パワーシリーズ」と称する練習試合を実施している。
ロッテといえば、昨年チームの顔といえる存在だった井口資仁が引退し、監督に就任したことによってスター不在が囁かれていた。しかし、今はドラフト1位で獲得した履正社(大阪)のスラッガー・安田尚憲(やすだ・ひさのり)がその穴を埋めるべく大きな期待を背負っている。
照れながらラミガールとのフォトセッションに応じる安田尚憲(左から2人目) 将来の"ミスターロッテ"候補の筆頭に挙げられているその大物ルーキーが、ラミゴとの練習試合に「4番・サード」で先発出場を果たした。
背番号5を見つけたスタンドのファンから「安田、頑張れよ!」との声が投げかけられると、その声援に応えようと遠慮がちに手を上げるその姿は、まだまだあどけなさが残っている。それでも、ほかの選手と比べてもひと回り大きい体躯は、とても高卒ルーキーとは思えない。
まだ主力クラスの選手は出場せず、戦力を見極める段階であるとはいえ、高卒ルーキーの4番スタメンは破格の扱いである。井口監督をはじめとする球団の期待のほどがうかがえる。
約3000人の観衆を前に、自分の名前がコールされたことで安田は初めて"プロ"を実感したという。注目のプロ第1打席は、窮屈なスイングからどん詰まりのショートゴロ。ラミゴの先発投手の球速は、高校時代に甲子園で対戦した速球派よりも間違いなく遅いだろうが、慣れないサブマリンに苦戦したようだった。
それでも「ベンチからはボール、ストライクの見極めだけはしっかりしようと言われていましたから。そこはしっかり見られていたと思います」と試合後に語ったように、第2打席、第3打席は味方打線が爆発するなか、はやる気持ちを抑えて四球を選んだ。
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