片岡篤史・新ヘッドコーチに聞く、
タイガース「金本改革」の進捗状況 (3ページ目)
──選手への指導では、よく長所を伸ばせと言われますが、タイガースの打者の場合、どのあたりが長所なのでしょうか。
片岡 1人ずつ説明はできませんが、どんな選手でも必ず短所はあるなかで、欠点は修正しないとプロでいい結果は残せません。確かに長所は伸ばさなくちゃいけないんですが、短所がたくさんあると、なかなか長所を伸ばすことは難しいですよ。今はこれだけデータが発達しているので、みんなの長所短所が他球団にも明確にわかるのです。日本のピッチャーはコントロールがいいので、弱点が多い選手にはその弱点に、どんどん投げ込んできますからね。
たとえば、昨年の髙山俊。もともと彼はフォアボールをもぎ取るタイプではなくて、早いカウントからスイングするケースが多いんです。積極的に初球から振れるというのは長所でもあります。しかし、プロのピッチャーは1年間、彼と対戦してきた経験でボール球から入るという攻め方をしてきました。
その結果、ボール球にもバットが止まらなくて凡打や空振りするケースが目立ちました。ボール球でもヒットにできる彼の技術はあるんですが、やはり、相手に研究された結果、持ち味である積極性まで失いかねません。そういった意味で、去年の髙山は自分自身との攻防だったと思います。
──ベテラン福留孝介の起用法については気を遣いましたか?
片岡 福留に関してはキャプテンということで、数字に表れない部分でも本当にチームのためによくやってくれています。ただ、40歳を越えましたからね。昨年は休んだ後の試合は明らかに成績がいいので、週に1回か2回、対戦相手も見ながらですけど、休養を挟みながらの起用策を取りました。
ただ、それがなぜ実現できたかというと、うれしいことに俊介や中谷将大たちが、成長してきてくれたおかげなんですね。今年もそういう形で、福留を"休ませる"というよりは"ベストな状態で試合に出す"という考え方で戦っていきたいですね。
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