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ソフトバンク中軸打線を沈黙させる
配球を、名打撃コーチが読み解いた (2ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 とはいえ、ソフトバンクが一発に頼った野球をしていないのは、いかにも投手出身の工藤公康監督らしい。たとえば、この数字を見てもらいたい。

柳田悠岐/3割1分0厘(3割7分9厘)
デスパイネ/2割6分2厘(3割2分6厘)
今宮健太/2割6分4厘(2割9分6厘)
松田宣浩/2割6分4厘(2割8分0厘)
中村晃/2割7分0厘(2割6分3厘)

 左の数字はそれぞれ選手たちの今季の打率で、( )内は得点圏打率を示している。これを見ると、得点圏打率のいい打者が揃っているのがわかる。要するに、"勝負強い"打者が多いということだ。こうした勝負強い打者の特徴は、狙い打ちをしているか、カウント球をうまく打っているかのどちらかである。投手にもよるが、得点圏の場面で初球からウイニングショットを投げるケースがパ・リーグには多く、ソフトバンクの打者はその球を狙い打っているわけだ。そうでなければ、いくら投手陣がいいとはいえ、2割5分9厘のチーム打率で94勝は残せない。

 さて、そのソフトバンクとCSファイナルステージで戦う楽天だが、勝機があるとすればどこなのか。そのカギとなるのは、ソフトバンクの投手陣を打ち崩すというよりは、いかに打線を封じ込めるかだろう。今宮健太や上林誠知など、脇役的な存在の選手でもレベルは高いのだが、それでも「ここに投げておけば大丈夫」というポイントはある。ありきたりな表現になるが、投げミスさえしなければ寸断できる打線である。

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