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ソフトバンク中軸打線を沈黙させる
配球を、名打撃コーチが読み解いた (3ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 そのなかでポイントに挙げる打者は......本来なら柳田になるのだろうが、CS出場は絶望と聞く。ならば、やはりデスパイネだ。

 そのデスパイネに関して、面白いデータがある。リードしているときの打率は3割6分1厘あるのに対して、リードされているときは2割4分2厘。一概には言えないが、おそらくリードしているときというのは、すでに相手の先発投手が降板し、2番手以降の投手が投げていることが多いだろう。つまり、投手の質が落ちている可能性が高いということだ。35本塁打、103打点は見事だが、リードしてからの数字も存分に含まれているに違いない。そう考えれば、そこまで恐れる心配はない。むしろ、必ず抑えられるツボがあるということだ。

 その弱点は、低めだ。最も三振が多いのは、真ん中低めゾーンの落ちる系のボール。ここをウイニングショットにして、そこまでいかにして追い込めるかだ。ただし、安易に外角のスライダーを投げたらスタンドに持っていかれる。手の届くコースへの配球は細心の注意が必要である。

 むしろ、より厄介なのは、松田宣浩の方かもしれない。おそらく松田はヤマ張りタイプの打者だろう。それも球種ではなくコースを張るタイプ。たとえば、外角の球が2球続けば、次は内角一本に絞る。それがホームランの方向に出ている。

 今季、松田が放った24本塁打のうちレフト方向は16本。もともと広角に打つバッターだが、手堅くヒットを打つときはライト方向に、一発を狙うときにはレフト方向に。つまり、ホームランを狙うときというのは、ある程度決め打ちをしているのだろう。

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