「3-2から変化球を待てるか」で外国人選手が日本で成功するかわかる
名コーチ・伊勢孝夫の「ベンチ越しの野球学」連載●第6回
《今のプロ野球は「チーム浮沈のカギを握っているのは外国人選手」と言われるほど、彼らへの依存度は高い。事実、昨年日本一に輝いた日本ハムには本塁打王のブランドン・レアードがいたし、25年ぶりにセ・リーグを制した広島でもクリス・ジョンソンが投手の最高栄誉である沢村賞を獲得する活躍でチームを牽引した。ただ、レアードもジョンソンもアメリカではバリバリのメジャーリーガーではなかった。では、日本で活躍する外国人とはどんな選手なのか? これまでコーチとして日本人のみならず多くの外国人選手も指導してきた伊勢孝夫氏に、日本で成功する外国人の共通点について聞いてみた。》
(第5回はこちらから>)
2013年には日本記録となるシーズン60本塁打をマークしたヤクルトのバレンティン 近鉄(現・オリックス)や巨人などで活躍したタフィ・ローズは、来日したときからメジャー選手のプライドを捨てていた。ヤクルト、巨人で中軸として働いたジャック・ハウエルも同様だ。彼らはキャンプのときから自主的に、そして積極的に練習していた。こういうタイプはコーチとして扱いやすい。
逆に日本で成功しなかった理由は選手によって様々だろうが、打者の場合は故障などの身体的理由を除けば、ほとんどが技術(スイング)と頭脳(配球への対応)のどちらかだろう。
わかりやすい例を挙げれば、日本はカウント3ボール2ストライクからでも変化球を投げてくる投手が多い。それもストライクからボールになる際どい球だ。この現実をメジャーでやってきた連中は、どうしても認めたがらない。いくら忠告しても真っすぐのタイミングで振りにいき、空振りしては怒りながらベンチに戻ってくる。
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