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「3-2から変化球を待てるか」で
外国人選手が日本で成功するかわかる (3ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 当時の近鉄には、ローズのほかにフィル・クラークという右の強打者がいた。彼はローズと正反対の性格で"超"がつくほどの真面目。同じ黒人選手でもここまで違うのかと思ったほどだ。ローズはそのクラークを練習中に冷やかし、よく怒らせていた。私は試合で結果を出してくれるのなら、私生活はもちろん、練習中だって何をしても構わないと思っている。

 しかし、ふたりの関係は日に日に悪化し、「このままではチームにもよくない」と思ったため、彼らを藤井寺球場のライトスタンド下にあるブルペンに呼んで、こう諭(さと)した。

「日本で成功しようと思ったら、互いに仲良くすることだ。縁あって、遠い日本の地で一緒にやっているわけだ。いつか必ず、互いを必要とするときがくる。それとミーティングは真面目に聞きなさい。スコアラーのアドバイスは、間違いなくお前たちの助けになるはずだ」と。

 その後は、ふたりともミーティングを真剣に聞くようになった。その効果もあって、どれだけ打率を上げたことか。

 コーチの立場からすれば、選手たちの技術、性格をいかに早く把握するかが、大事な仕事の第一歩。普通、コーチが初来日の外国人選手と接するのは春季キャンプだ。性格を知るには多少時間がかかるが、技術に関しては1週間から10日もあればおよそわかる。このままでは間違いなく結果を出せないという選手もいるわけだ。

 来日1年目のウラディミール・バレンティンが、まさにそうだった。タイミングの取り方、打つときに体重がやや投手寄りに前傾してしまうクセ......最初見たとき「こりゃダメだな」と思ったが、すぐに助言はしなかった。なぜならバレンティンはいかにもヤンチャで、言ったところで聞くようなタイプじゃなかったからだ(笑)。なので、しばらく放っておいた。

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