もうガムは嚙まない。DeNA梶谷隆幸が自身を語るロングインタビュー (5ページ目)

  • 村瀬秀信●取材・文 text by Murase Hidenobu
  • 小池義弘●撮影 photo by Koike Yoshihiro

 これまで梶谷が安定した成績を残せなかった原因に、調子の波の激しさがある。好調な時はどんなボールがきても反応して対応できてしまう天才的な打撃をするが、不調に陥った時は、素人目に見てもバットに当たる気配がなくなってしまう。その波をどれだけ小さくできるかが、今年も大きな課題となる。

「好不調の波の激しさは自覚しています。毎年、4月がよくて5月途中から落ち始め、6月になると親からも『6月どうにかならないの?』って言われるぐらいダメになる。夏場の体重が落ちたあたりにまた調子がよくなるので、多分、ファンの方たちは『梶谷は体重がない方がいいんじゃないか』と思っているでしょうね。でも、僕は体重がある方が体はキレるんです。調子が落ちるのは、身体よりも技術とハートの部分が9割ですね。だいたいあの時期はキャンプからシーズン序盤の疲れが出てきて、技術的な面でバッティングのフィーリングが合わなくなってくる。

 さらに、僕は悪くなるとバッティングフォームを変えたくなる。毎年毎年、自分の中での迷いがめちゃくちゃあって、ああしてみよう、こうしてみようって......いい時は何も考えなくても打てるけど、悪い時は『何が悪いのか』をどうしても考えてしまいます。ただ、去年あたりから調子がいい時に『どこがよかったのか』を考えるようにしたんです。そのことは悪くなってから役に立ちました。具体的にいえばバットの軌道とタイミングですね。今年は去年の後半からの調子が維持できているので、落ちてきても基本的には変えずに我慢することが大事だろうなと思っています」

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