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やっぱり牧田はすごかった。
浮き上がる「魔球」でオランダ打線を制圧 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Getty Images

 先発投手の石川歩は3回5失点と打ち込まれたものの、4回以降は毎回のようにピンチを招いてはリリーフ陣が踏ん張った。7回裏に松井裕樹の股の下を抜かれた打球をセカンド・菊池涼介が横っ飛びで好捕し、即座にショート・坂本勇人にグラブトスしてアウトにしたプレーは、今後日本球界で語り継がれるであろうスーパープレーだった。

 だが、9回裏に起用された則本昂大は最速156キロの快速球を武器に飛ばしたものの、二死一、三塁からジョナサン・スコープにセンターへと抜ける同点タイムリーを浴びてしまう。

 延長戦は「1点でも多く奪えばサヨナラ勝ち」というプレッシャーをかけられる後攻が有利と言われている。あまつさえ侍ジャパンは6回以降0行進が続いており、延長10回表も一死満塁のチャンスをつくりながら青木宣親が併殺打に倒れて無得点。流れは明らかにオランダに傾いていた。

 そんななかでマウンドに上がったのが、アンダースローの牧田だった。

「(流れは)まったく考えていませんでした。バッターを1人1人抑えることしか頭にありませんでした」

 ストレートは常時130キロ台前半なのに、打者が差し込まれる。そこへ90キロ台のスローカーブに、110キロ台のスライダーを織り交ぜてオランダ打線を翻弄する。ベンチで投球を見ていたリリーフの秋吉亮は、こんな思いを抱いたという。

「安心して見ていられました。一発でサヨナラという場面なのにピシャッと3人で抑えていましたし、本当にすごいです」

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