伝説の豪腕・山口高志が藤浪晋太郎に見た「世界デビュー」の予感

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Getty Images

 2月中旬、沖縄・宜野座キャンプで目にした藤浪晋太郎(阪神)の投球に、5年目の飛躍を予感したと言う。

「ゲームでの投球も見ましたけど、今年は変な力みも抜けて『また成長するな』という印象を受けました」

3月1日に行なわれた台湾リーグ選抜戦で3番手として登板し、1回を無失点に抑えた藤浪晋太郎3月1日に行なわれた台湾リーグ選抜戦で3番手として登板し、1回を無失点に抑えた藤浪晋太郎 そう話すのは、藤浪のプロ入りから3年間、2015年シーズンまでピッチングコーチとして関わった山口高志氏だ。その山口氏が、規格外のサイズ、長い手足の扱いに苦労しながらプロ生活をスタートさせた当時の藤浪にかけ続けた言葉がある。

「世界一の投手を目指せ」

 それだけの器と感じたからだ。その期待に応えるように、藤浪は1年目から10勝、11勝、14勝と順調に勝利を積み重ねたが、昨年は7勝。あの江夏豊以来、46年ぶりとなる高卒新人の4年連続2ケタ勝利はならなかった。

 一方で、藤浪と高校時代からのライバルである大谷翔平(日本ハム)は、飛躍的なスピードで急成長を遂げ、今まさに世界が注目する男となった。

「プロに入ってくるときも、スカウトから『藤浪はすぐに使って勝てる投手。大谷は少し時間がかかるけど、そこからグーンとくる』と聞かされていたんです。まあ、藤浪自身、思うところはあるでしょうね」

 大谷は今回、ケガにより日本代表メンバーから外れたが、藤浪の野球人生にとって今大会は大きなターニングポイントになるのではないか。

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