2017.01.10

元メジャースカウトが危惧する
大谷翔平「30歳のピッチング」

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • 西田泰輔●写真 photo by Nishida Taisuke

元ドジャーススカウトが見た、大谷翔平の7年間(中編)

(前編はこちら>>)

 ドラフト1位の力を持った高校生が卒業を前にアメリカの球団と契約を交わし、海を渡ってマイナーからメジャーを目指す――日本球界では一時、この流れが加速するのではないかと危惧された時期があった。それはドラフト1位での指名が確実視された花巻東の菊池雄星が2009年の秋、大谷翔平が2012年秋に、そろってメジャー指向を口にしたからだ。そして彼らの心がメジャーに向いたのは、ロサンゼルス・ドジャースのスカウトだった小島圭市の存在があったからだった。小島は、才能あふれる日本の高校生がNPBの球団ではなく、MLBの球団と契約するメリットについて、こう話している。

昨シーズン、日本人最速となる165キロをマークした大谷翔平「最大のメリットは、成長が緩やかになることです。メジャーの育成プログラムでは、体ができていないうちにメジャーで投げさせるようなことはしません。段階を経て体づくりをしながら、イニング数、球数をしっかり管理して、マイナーで実戦経験を積ませます。そうすると30歳以降の野球人生が長くなるんですよ。大谷くんは明らかに能力が高いので、高校を出てすぐ勝てました。だから、どんどん使われちゃう。でも僕には、『オラ~、走れ、オラ~、投げろ、客呼べ~』とムチ打ってるようにしか見えなかった。今はまだ22歳だからわからないかもしれませんけど、25歳からの10年間、あるいは15年間、メジャーのローテーションのど真ん中で投げ続けるには、キャリアの中盤あたりから伸びていく形が望ましいんです」