サブローからマリーンズへの伝言「Have Funの精神を忘れずに」 (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kyodo News

 サブロー自身、PL学園からドラフト1位でプロ入りしてから、レギュラーに定着するまで長い時間を要している。プロのスピード、体の強さ、飛距離、すべてに戸惑った。結果を出さなければいけないプレッシャーに怯えて打席に入り、かえって結果が出ない悪循環に陥ったという。初めて規定打席に到達したのは、8年目の2002年だった。

「体づくりができたことと、僕のバッティングの師匠である高畠導宏さん(故人)に(プロのレベルに)対応するためのバット軌道やタイミングを教わったことも大きかったんですけど、やっぱり気持ちに余裕が出てきたことが大きかった。『打たないと出られない』と思うのではなく、『打てなくても出られる』と余裕があれば結果も出てくるものなんです。いま、若い子たちにもそのことは伝えているんですけど、そのためにはやっぱり使ってもらえないと克服できないですからね」

 そして、サブローにとって野球人生のターニングポイントになる出会いが2004年にあった。この年、9年ぶりに監督復帰したボビー・バレンタインである。

「選手を萎縮させない、いい環境を作ってくれる監督でした。よく話しかけてくれたり、食事に連れて行ってくれたり、コミュニケーションを取ってくれました。ボビーによく言われたのは『Have fun!』。つまり『楽しめ』ということ。苦しい時こそ『Have fun!』。それ以来、僕のなかで常にその思いを持っていますし、これから若い選手たちにも変わらず伝えていきたいと思っています」

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