サブローからマリーンズへの伝言「Have Funの精神を忘れずに」

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kyodo News

 幕張の強風を突き抜けていくような「サブローーー!」の場内アナウンス。今やQVCマリンフィールドの名物となった、ウグイス嬢・谷保恵美さんの甲高いコールを今年は一度も聞くことができていない。

 そして9月1日、サブローはユニフォームではなくスーツに身を包み、QVCマリンフィールドで引退発表会見を行なった。終始淡々と受け答えしていたサブローだったが、ファンへの思いについて尋ねられると声を詰まらせ、涙を拭う場面もあった。

1994年の入団以来、ロッテを我が家と感じてきたサブロー1994年の入団以来、ロッテを我が家と感じてきたサブロー「一時期、半年くらいジャイアンツに行きましたけど、帰ってきたときも温かく見守っていただいて、熱く応援していただいて、感謝の言葉しかありません。これからも千葉ロッテマリーンズをよろしくお願いします」

 プロ通算22年、1781試合に出場して、1362安打、127本塁打、655打点、78盗塁、打率.265。外野手としてゴールデングラブ賞を2度受賞している。

 体はどこも悪くない。調子もいい。イースタン・リーグでの成績は57試合に出場して打率.240、4本塁打と今ひとつだったが、ベテランにとってファームの試合はあくまで調整の場でしかない。一軍の投手を打つための準備はしていたものの、声が掛かることはなかった。しかし一方で、今年で40歳になった自分が、チームにとってどんな存在であるかも自覚していた。

「自分のなかでは『ないだろう』と割り切って......、でも、やることはやっておこうという感じでした。一軍に行くことは『ない』と思っておこうと」

1 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る