山田哲人と杉村コーチの師弟コンビが目指す「とんでもない目標」

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Kopike Yoshihiro

 山田哲人(ヤクルト)の「ここまで」を杉村繁チーフ打撃コーチに振り返ってもらうと、「想定外だよね。こんなに打つとは思わなかった」と笑いながら頭をかいた。

「ここまで」とは、山田と杉村コーチが「3年間つきっきりで練習しようじゃないか」と本格的に早出練習を始めた2年前のある日から今日までのことである。そして今シーズン、ふたりは「約束の3年目」を迎えたのだった。

昨年トリプルスリーを達成し、本塁打王と盗塁王のタイトルも獲得した山田哲人昨年トリプルスリーを達成し、本塁打王と盗塁王のタイトルも獲得した山田哲人

 2年前の春季キャンプで山田と杉村コーチのふたりがまず目指したのは、「レギュラーとして全試合出場」と「週に7本のヒットを打つ」ことだった。今にして思えば、じつに慎ましい目標である。杉村コーチが語る。

「ヒットを週に6本から7本打てば、月に30本になる。シーズンは約6カ月なので、それを続ければ年間180本。そうすれば打率も3割に届くだろうし、首位打者も見えてくるかもしれない。本塁打も月に3本打てば20本ぐらいになる。そう話していたんだけど、いきなり日本人右打者の年間最多安打記録を64年ぶりに更新してしまった。去年だって、相手からの攻めも厳しくなり苦しむだろうと予想したんだけど、トリプルスリーに本塁打、盗塁王のタイトルを獲得し、セ・リーグMVPでしょ。こんなこと想定していないですよ(笑)」

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