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「野球の素晴らしさを伝えたい」。野球ものまね芸人たちの矜持 (4ページ目)

  • 菊地高弘●文・写真 text&photo by Kikuchi Takahiro

 ます似はもともとNSC(吉本総合芸能学院)出身の芸人だった。同期にはオリエンタルラジオやフルーツポンチがいる。漫才師としてスターダムを目指したが、芽が出ずコンビ解消。そして4年前、「18歳の頃から『似てる』と言われていた」という桑田真澄のものまね芸人にコンバートした。蛇足だが、TOEICで990点(満点)を取ったことがある“インテリ芸人”でもある。

 しかし、ひいき目なしに本物に似ているます似に対して、「監督に就任したばかりだし、神田の通行人の方々の反応を見てみたかった」とます似が連れてきた高橋よしのBは、やや疑問符がつくクオリティーだった。むしろ杉内俊哉に似ているような気もする。そもそも、よしのBは本職のものまね芸人ではない。

「普段は契約社員として働いています。今年30歳になるんですけど、今まで『由伸さんに似てる』と言われたことはありませんでした。でも、草野球をしているとき、ます似さんから『横顔がちょっと由伸さんに似てるね』って言われて。最初はそっくりさんになる気はまったくなかったんですけど、誘われてやってみたら、クセになってしまって(笑)」

 今ではユニフォームを着て、東京ドームがある水道橋駅近辺を一人で徘徊するようになったという。そんなことを語っているよしのBの横で、何かに気づいたます似が「前髪を下ろしたほうがいいよ。由伸さん、こんな感じでしょ?」とよしのBの前髪を微修正した。するとその瞬間、確かに「高橋由伸」がよしのBに宿ったように感じられた。

「うん、そのほうがいいよ。まずはこんなものでいい。ものまねしているとね、だんだん本人に似てくるものだから」

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