2015.12.27

燃え尽きてもなお黒田博樹がマウンドに上がる「新たな使命感」

  • 前原淳●文 text by Mehara Jun
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

「燃え尽きたところがある」

 10月7日のシーズン最終戦終了後にそう口にしてから62日目。黒田博樹(広島)が出した答えは、現役続行だった。

「1年間必死に戦ってきた中でどこかで燃え尽きた部分もあったんですけど、来季やるにあたっていろんなモチベーションを探して......。やっぱりモチベーションを探すというのは、どこかでもう1年やりたいというか、やらないといけないという気持ちがあったんだなという気持ちですかね」

 自ら決断した理由を探すように、言葉を紡(つむ)いだ。

現役続行を表明した広島・黒田博樹

 41歳で歩む現役続行は厳しくつらいものになると、覚悟を要した。何度も引退の道に歩を進めようとする自分がいた。だが、そのたびにもう一方の道の先で待つ人たちの顔が立ち止まらせた。

「球団、ファンの人を含めいろんな人にまだやれるということを言われ、それに応えないといけないというか、応えるのがプロとしてやらないといけないことかと。あとは若い投手の中に『来年もよろしくお願いします』と。社交辞令かもしれないですけど、そういう言葉をもらって、そこで辞めるという決断を自分にはできなかった」

 広島に入団してから19年、野球を楽しいと思ったことはない。海を渡っても、その思いは変わらなかった。8年ぶりの日本復帰。大歓声で迎えられるマウンドは特別であっても、楽なものではなかった。

 プロとして投げてきた。ならば、たとえ厳しい道であっても、そこに自分を待ってくれている人がいるならばマウンドに立たなければいけない。そう自らを奮い立たせ、引退への道を断ち、現役続行の道を歩むことを決めた。