燃え尽きてもなお黒田博樹がマウンドに上がる「新たな使命感」 (3ページ目)
今季も目の前の試合にすべてをかけてきた。普段は関西のおもしろいおっちゃんの印象も、登板日が近づけば周囲を寄せ付けないオーラを漂わせる。マウンドに上がれば、戦う男。打球に対し右手を出して止めに行こうとすることもあった。緒方孝市監督や畝龍実投手コーチがいくら言っても、黒田の戦う本能を止めることはできなかった。
さらに、相手投手を威嚇することもあった。苦手な打撃でも腕を目いっぱい伸ばして食らいつこうとする。勝利への執念を人一倍見せた。それは同時に自ら燃え尽きようとしているようにすら感じたほどだった。
実際、シーズン終了後は「燃え尽きた」と語った。それでも現役続行の道を歩む決断をした。
野球を楽しいと思ったことはない。それでもプロとして求められる存在でありたいと思い続けた。広島でエースとなり、海を渡っても名門で大黒柱を担った。日本に帰ってきた今季、歓声は想像以上だった。41歳となる来季も、自分を求めてくれる人がいる。
「プレッシャーはありますけど、最後はやらないといけないというのが自分のどこかにあったんじゃないかなと思います」。
新たな使命感を胸に、黒田は来季へ歩を進めている。結論を出した明確な答えは、その道程にあるのかもしれない。
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