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「育成の巨人」復活へ。新設の三軍制度はどこまで機能するのか? (3ページ目)

  • 深海正●文 text by Fukami Tadashi
  • photo by Kyodo News

 問題はレベルの質をどう維持するか、ということだろう。独立リーグのチームを中心に試合を組むことになるが、相手は公式戦の合間を縫っての対戦となる。真剣勝負に程遠い雰囲気になれば、実戦を積むメリットは薄れてしまう。

 また、今年のドラフトで育成選手を7人指名したように、チームが抱える選手の数は一気に膨れあがった。三軍コーチを新たに設けたが、これまでよりもひとりの選手にかける首脳陣の目は少なくなってしまう。練習などを支える裏方、球団スタッフにしても同様だ。指導力、チーム内の選手を取り巻く環境のレベルを、これまで通りに維持していけるかどうかも課題となる。

 なにより、選手のモチベーションを高く保たないといけない。三軍をつくり「若手の底上げ」と球団がいくら叫んでも、入れ替えが少なく、これまで通りのメンバーで固定されれば、選手のやる気も起きないだろう。ただ、漠然と目の前の試合をこなしていくだけになってしまう。その点について、あるスカウトは「高橋監督になって、監督も積極的に若手を使ってくれると思う」と期待していた。

 いくら課題が目についても、巨人の未来を考える上で若手の躍進が欠かせないことは紛れもない事実だ。坂本勇人のように、生え抜きのチームの顔をつくらないといけない。はたして、今回の三軍創設はその第一歩とできるのか。

 堤GMは「年にひとりでも、ふたりでもいいので、支配下選手に上がって、そういう選手たちが一軍の戦力になっていく仕組みを整えようということ。下から(チームを)支える仕組みを整えたい。まだ手探りですけど、動き出したということ」と、強い信念を口にした。「育成の巨人」は復活するのか。三軍の行方に注目だ。

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