「育成の巨人」復活へ。新設の三軍制度はどこまで機能するのか?
10月31日だった。巨人の秋季練習が行なわれている川崎市のジャイアンツ球場に白石興二郎オーナーが視察に訪れ、その帰り際、報道陣に囲まれると口を開いた。
「ソフトバンクにならって三軍を創設した。ソフトバンクが三軍をつくって、それぞれの入れ替えもやり、実戦経験を若手に積ませている。それによって、チームの強化をしているという話を(高橋由伸監督と)した。我々もいろいろ知恵を出して、工夫しながらやらないといけない、ということも監督は言っていた」
三軍監督に就任した川相昌弘前ヘッドコーチ
ソフトバンクは2011年シーズンから三軍制度をスタートさせ、大型補強と同時に若手の底上げに力を注ぎ、14、15年と2年連続日本一へとつなげた。巨人の球団トップが「その手法を参考にするように」と言ったのだ。
現在、巨人は過渡期を迎えている。12年の日本一をピークに、13年は日本シリーズで敗退。14年はリーグ3連覇を果たすもクライマックス・シリーズ(CS)で阪神に敗れ、そして今年はリーグ2位に終わり、CSでもヤクルトに完敗を喫した。
右肩下がりの成績の原因のひとつに、生きのいい若手が台頭することが少なかったことが挙げられる。前任の原辰徳監督は、「チームに新陳代謝が必要」と身を引き、高橋由伸監督にバトンを渡した。
今でこそソフトバンクの三軍制度が成功例として取り上げられているが、かつては「育成の巨人」だった。05年に巨人が旗振り役となり、育成枠制度を球界に取り入れた。多くの若手に実戦経験を積ませようと、イースタン・リーグで混成チームをつくり、ロッテとの連合チームも形成し、社会人などを相手に積極的に試合をこなした。
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