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9年間も力を証明し続けた前田健太が「世界のマエケン」になる日 (3ページ目)

  • 前原淳●文 text by Maehara Jun
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 この年、前田にとって忘れられない試合がある。5月15日、マツダスタジアムでの日本ハム戦だ。この試合で前田はダルビッシュ有(現・レンジャーズ)と投げ合い、1-0で完封勝利を挙げた。

 この試合、ふたりには特別な時間が流れていた。ダルビッシュは「これからのセ・リーグを背負ってもらいたい。何かを感じてほしかった」と打席の前田に対して、持っているすべての球種を投じた。その思いを受け継いだのか、その年のオフに海を渡ったダルビッシュに代わり、前田は日本球界を代表する投手へと成長していった。

 13年には日本代表としてWBCに出場し、優秀選手賞を受賞した。同年のシーズンは15勝を挙げ、自身3度目となる最優秀防御率のタイトルを獲得。チームを初のクライマックス・シリーズ進出へと導いた。

「後悔はしたくないので、自分が挑戦できる時に(アメリカへ)行きたい」

 この年のオフ、初めてメジャー挑戦を球団に伝えた。広島から全国へと上り詰めた前田の目が、世界に向くのは当然の流れだった。

 だが14年は、5年連続2ケタ勝利を達成するも、チームはシーズン終盤に優勝争いから転落し、前田自身も後半戦は2勝しか挙げられないなど、誰もが認める結果を残せずに終わる。同年オフ、ポスティングによるメジャー移籍は見送られた。

 そして今年、黒田という大きな存在が加わった。前田が燃えないわけがない。チームは3年ぶりのBクラスに終わったが、前田は15勝をマークして10年以来となる最多勝を獲得。昨シーズン勝てなかった後半戦に力を発揮し、中4日での登板もいとわず、最後までチームのために投げた。

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