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ソフトバンク「最強の組織」はこうして作られている! (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 当たり前のように、そう言い放ったソフトバンク関係者の表情が忘れられない。

 開幕から順調にスタートし、勝負の夏を乗り越え、実りの秋を迎えた今シーズンのソフトバンク。一見、順風満帆のように見えるが、実際はそうではない。

 難病を乗り越え、今季6月までに5勝(うち2完封)という大車輪の活躍を続けていた大隣憲司が左ヒジの手術で離脱。野手でも、リードオフマンでありチームリーダーでもあった本多雄一が右足首捻挫で実戦を離れ、強力打線を支えていた長谷川勇也も昨年オフに手術した右足首の回復が遅れていた。

 主力が離脱するという危機的状況を救ったのが、控え選手たちだ。先発左腕の大隣に関しては、そのままそっくりというわけにはいかなかったが、育成出身の飯田優也が中継ぎで35試合に登板し、本多の穴は明石健志がフォローし、長谷川の穴は福田秀平や吉村裕基、そして2年目の上林誠知までもがこぞって埋めた。

 彼らには"控え選手"だからという負い目や気後れがまるでない。むしろ、今のソフトバンクでプレーしているという誇りが全身から溢れていた。

 たとえば、楽天の若きストッパー・松井裕樹のインコースのストレートを踏み込んでライトスタンドへライナーで叩き込んだ福田のスイングには、命を賭けて闘う者の矜持(きょうじ)を感じた。

 最強の組織とは、2番手以降に優秀な人材が揃っているものだ。それは、スポーツの世界だけでなく、企業やあらゆる組織にも通じるものがある。さらにソフトバンクは二軍の下に三軍を置き、それがチーム全体の底上げになくてはならない存在になりつつある。

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