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パ・リーグを独走! ソフトバンク工藤監督流「采配の妙」に迫る (2ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 昨年、李大浩は4番打者として打率.300をマークしながら、打点は68しかありませんでした。それが今年は現時点(9月15日現在)で93もあります。いかにこの打線が機能していたかを証明する数字だと思います。

 そうして中軸は固定しつつも、1、2番には調子のいい選手、相手との相性を見て入れる。そうすることで、より多彩な攻撃が可能になりました。ただバントで送るのではなく、エンドランや盗塁など、足を絡めた攻撃もできる。投手にとって何をされたら嫌なのか、投手出身の監督らしい攻めを見せていました。ただ打ってランナーを還すのではなく、じわりじわり相手にプレッシャーをかけていく。まさに工藤野球の真骨頂と言えると思います。

 一方の投手陣は、絶対的なエースがいるわけではなく、昨年のシーズン終盤に大活躍した大隣憲司がシーズン途中で離脱し、メジャー帰りの松坂大輔も一度も一軍のマウンドに上がることはなかった。正直、苦しかったと思います。

 それでも工藤監督らしいと思ったのは、「ここで交代かな」と思う場面で続投のケースが結構あったことです。長いシーズンを戦う上で、目の前の試合に勝つことは大事なことですが、投手を育てることも重要になってきます。

 ホークスのように強力なリリーフ陣を擁すると、つい継投に頼りがちになってしまいます。そうした戦いをシーズン序盤から続けていくと、リリーフ陣も疲労がたまってきますし、8月、9月の戦いが厳しくなります。それを避けるように、特に序盤は先発陣にイニングを投げさせていたと思います。それによって武田翔太が一本立ちし、寺原隼人も苦しい台所事情を支えてくれました。

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