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デストラーデが語る「西武黄金時代と日本野球」 (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Sportiva

「メジャーリーグのジョー・トーリやNBAのフィル・ジャクソンは、偉大な監督というより、偉大なモチベーターだと思うんだ。選手のモチベーションの上げ方を知っていて、『彼には優しく』『彼には厳しく』など、きちんと使い分けることができている。そういう意味で、当時の西武にはいろんなタイプのモチベーターがいたね。打撃コーチの広野(功)さんは優しくて、いつも頑張れと励ましてくれたね。広野さんは私のモチベーションを上手に上げてくれた。よく英語で話しかけてくれたし、いつも元気だったね。逆に、三塁ベースコーチの伊原(春樹)さんは厳しくて、いつも怒っていたよ(笑)。このように、西武にはアプローチの違うモチベーターがいて、それが最終的にひとつに結合され、勝利へと導いていったんだ」

 デストラーデは日本でプレイをした4年で「日本というものを学んだ」と言い、「私は日本の野球に従ったマシンだった」と言ったが、その口調は決して否定的なものではなかった。

「日本には先輩、後輩というのがあり、ミーティングや団体行動が多く、厳しい部分もある。でも、試合前に一緒に食事をするのはチームの意思統一ができる貴重な時間だったし、もしクラブハウスやフィールドで問題があったなら、3年連続でチャンピオンになれなかった。西武のように相手を圧倒し続けたチームが他にあったかい? 巨人はそうかもしれないし、ダイエー(現・ソフトバンク)もそれに近かったかもしれない。でも、ダイエーは西武の影響が強いね。根本(陸夫)さんが球団社長になって、石毛さん、アキ、工藤さんらも西武から移籍した。結局、西武のスタイルがダイエーを作り上げたんだ。これは西武にも同じこと言えるね。広岡(達郎)さん、森さんは巨人V9の時の選手だった。その彼らが西武の黄金時代を築き上げたんだ。ひとつのことを成し遂げたチームから、枝分かれしてまた新しいものを築いていく。それがスポーツなんだ」

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