巻き返しに自信。オリックスナインが語る絶大な「金子効果」

  • 波佐間崇晃(オリックス・バファローズ球団映像アナウンサー)●文 text by Hazama Takaaki
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 オリックスのエース金子千尋が一軍に戻ってきてから1カ月が経った。金子が復帰した5月23日以降、チームは6月24日までに25試合を戦い、クオリティスタート(先発投手が6回以上を投げて自責点3以内に抑えること)を記録したのは17試合。ちなみに、パ・リーグ首位のソフトバンクは同期間、25試合中でクオリティスタートは16試合。オリックス先発投手陣はソフトバンク以上の数字を残している。

6月6日の中日戦で今季初勝利を飾ったオリックス金子千尋6月6日の中日戦で今季初勝利を飾ったオリックス金子千尋

 現在、オリックスは勝率5割を当面の目標に位置づけ、少しずつではあるが春先に抱えた借金を減らしている。反撃の一端を担っているのが先発投手だと言えるだろう。その中心にいるのが金子だ。

 オフに右ヒジを手術して出遅れていた金子は6月6日の中日戦で今シーズン初勝利を手にする。金子はヒーローインタビューでこう言った。

「僕も遅いと思いますし、もっと早く勝ちたかった」

 7回無失点の好投にも笑顔はなかった。その表情にエースの矜持(きょうじ)を感じた。

 金子はこれまでに多くの実績を積み重ねてきた。特に昨年は、最多勝と最優秀防御率のタイトルを獲得し、投手にとって最高の栄誉である沢村賞にも輝いた。そして万全を期して次のシーズンに臨むべく、昨年11月末に右ヒジ骨棘の除去手術に踏み切った。

 春季キャンプ中に術後初めてブルペンに入り変化球も交えた投球を行なったが、ここからが思うように進まなかった。2011年にも右ヒジの遊離軟骨の除去手術を経験していた金子だったが、「年齢とともに体は変化するもの。想像はしていたことですが、あの時とは体の戻り方が違います」と、自らへのもどかしさも口にしていた。

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