開幕ローテへ。
斎藤佑樹がイチローとの秘密練習でつかんだ感覚 (3ページ目)
ファイターズがクライマックス・シリーズを戦っていた去年の10月、斎藤は宮崎でのフェニックス・リーグで結果を残していた。一軍で投げる機会はなかったものの、彼のボールにはバットの芯を外すだけのキレがあり、コントロールも安定していた。その理由について、このオフ、斎藤はこう言っていた。
「こういうふうに投げればこういうボールが行くはずだ、という自分のフォームにようやく辿り着きました。僕、今のフォームが一番、自分に合っているフォームだと思うんです」
イメージするフォームで投げられるようになったから、イメージに近いボールを投げられる。その感覚をつかんだところで、4年目のシーズンは終わった。バッターを相手にできないオフ、斎藤がもどかしく感じたとしても不思議ではない。
年が明けた。
斎藤は思いの他、スローペースだった。ブルペンでどれだけ投げても、昨秋のいい状態を保てているのか、確信が持てないのだ。キャンプインを前に、エンジンの回転数はなかなか上がってこない。
1月下旬のある日、斎藤は神戸に足を運んだ。
イチローを訪ねたのである。
一緒に練習をして、イチローのバッティングピッチャーを務めた。ストレートだけ、30球ほど投げたのだという。
そこで、何かをつかんだのだと、斎藤は言った。
「イチローさんに投げた翌日、鎌ヶ谷に戻ってすぐブルペンに入ったんです。そうしたらボールを持つ右手が、ポンッと上がってくるようになった。どこも意識しなくても、ボールがトップの位置にポンッと上がってくるんです。これだ、と思いました。去年の秋が最高だと思ってましたけど、もっといい感覚があった。イチローさんに投げているうちに『絶対に打たれたくない』と、どんどんテンションが上がってきたことがよかったんじゃないかと思うんです……もちろん、今もそのときの状態のまま、投げられています」
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