目指すは2020年。侍ジャパン21Uが示した日本球界の未来 (2ページ目)
今回、初めて国際大会を経験する選手も多く、ストライクゾーンの違いや、相手のデータがないなど、不慣れな中での試合が続いた。だが、収穫もあった。鈴木誠也(広島)が大会首位打者を獲得し、アマチュアの横山雄也(新日鐵住金鹿島)、野村亮介(三菱日立パワーシステムズ横浜)、熊原健人(仙台大)、畦上翔(法政大)らの活躍も光った。そしてなにより、今回の侍ジャパン21Uは将来の日本野球を占う上で非常に大きな重責を担っていたのである。
チームを引率した日本野球連盟副会長の鈴木義信団長(※)は言う。
※1972年から82年まで東芝の監督を務め、79年からは日本代表のコーチを兼任。88年のソウル五輪では日本代表の監督を務めた。
「今回、私たちは2020年に東京で開催されるオリンピックで、野球が復活することを見据えた戦いをしています。そのひとつがプロとアマの融合。円滑にチームをまわせるかどうか、このチームが試金石になっています」
狙いは2017年の第4回WBCではなく、その先のオリンピックだった。12月8日にIOC(国際オリンピック委員会)の臨時総会がモナコで行なわれ、2020年の競技数の拡大について話し合いが行なわれる予定になっている。そこで競技数が増えることになれば、開催国に種目の優先権が与えられる可能性が高いという。つまり、消滅していた野球、ソフトボールが7年後の五輪で復活するかもしれないのだ。
侍ジャパン21Uのほとんどの選手が、7年後、いちばん脂の乗り切っている時期に差し掛かかる。鈴木氏は「WBCはオールプロ。オリンピックはアマチュアも参加できるようにしたい。ただ、オールアマで行っても、韓国や台湾がオールプロで来れば実力的に勝つのは難しい。それでも勝たなくてはいけないという思いがある」とプロ・アマをうまく融合させ、強いチームを作りたいと意気込みを語った。その最初の第一歩が、今回の侍ジャパン21Uだったのだ。
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