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楽天ドラフト1位・安樂智大が父と交わした7つの約束 (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 壮大な夢に向かって歩き出した息子に、元高校球児だった晃一さんも「相当厳しくやりました」と熱血指導で応えた。

「親子ではありますが、周りから見ればしごきに近いくらいのこともしたと思います。ただ、5歳上の兄はその厳しさが嫌で野球から離れた時期もありましたが、智大はどれだけきつくやっても、次の日には『キャッチボールをやろう』って行って来ましたから。本当に野球が好きなんです。その気持ちがあったから、目標に向かって妥協することなくやって来られたんでしょう」

 夢を実現すべく強豪校の済美高に進むと、ここでも明確に目標を定め、今度は上甲正典監督と3つの約束を交わした。

「監督を胴上げすること」
「160キロを出すこと」
「ドラフト1位でプロの世界へ進むこと」

 スピードについては、入学当初から160キロを目標にしていたわけではなかった。

「中学の時は練習で一度だけ135キロが出たぐらいだったのですが、高校に入学して2日目か3日目にいきなり142キロが出たんです。そこで、まず1年の間に150キロ、卒業までに155キロという目標ができたんです」(安樂)

 すると1年夏に148キロ、秋には151キロと早々に大台を突破。さらに、2年春の選抜で152キロ、夏の県大会で157キロ。そして選手権でも甲子園の最速タイ記録となる155キロをマーク。球速が伸び続ける中で、160キロをいう新たな目標が生まれたわけだが、安樂に強烈な刺激を与えた人物がいた。それが当時、花巻東高3年の大谷翔平(現・日本ハム)だった。

「僕が1年の夏に大谷さんが岩手県大会で160キロを出されて、そこで"160"という数字がはっきりイメージできるようになったんです。それからは160キロを超えたい、1キロでも上回りたいという新たな気持ちが生まれました」

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