悩める巨人・坂本勇人が語った「野球の怖さ」 (2ページ目)
出塁率を見ると、2012年の.359から.334に下げているが、それでも入団してから3番目にいい成績だった。坂本はこの数字を、どう自己分析したのだろうか。
「『調子が悪い分、ボールを見ていこう』と考えました。昨年は入団7年目だったからそれができたのだろうし、逆にボールを見すぎたから打率が下がったのかもしれない。そこは難しいところですね」
思うように安打を打てない中、走塁や出塁率を高めることでチームに貢献してきた。でも坂本は、「(盗塁や出塁率の)数字には全然納得していない」と言う。何より、持ち味である積極性が失われたことを悔やんだ。
「僕は選球眼がいい方ではないので、追い込まれるまでに勝負したいという意識があります。調子がいい時は、打ちにいっても見逃すことができるのですが、調子が悪くなると、打ちにいった中でボール球を振っちゃうことがあるんです。調子が悪くなると、打ちにいった中でボール球を振っちゃうことがあるんです。その中で昨年はボールを見ていこうと考えたのですが」
今季はここまで(5月31日現在)打率.293、3本塁打、15打点の成績を残している。開幕当初は調子が上がらず苦しんだが、それでも3割近い数字を残してきた。
「調子が悪い時でもヒットを打つには経験が必要だと思います。『この場面で真っすぐは来ないな』と思ったら、変化球を待ってみる。プロ野球は、何度も同じピッチャーと当たります。『このピッチャーは前にこう打ったから、今度はこういう球が来そうだな』というのは、1年目ではわからないことじゃないですか。でも、僕は8年目なので、『このピッチャーはここに投げてくる』という感覚は多少持っています。そういうことも大事だなと思います」
プロ入りしてから経験を重ね、打者としての引き出しを増やしてきたのは間違いない。だが、今シーズンの開幕前、坂本は次のように語っていた。
「デビューして最初の頃は怖いもの知らずで、試合になったら何でもやれていました。でも歳を重ねるごとに、そういうわけにはいかなくなった。やればやるほど、野球は難しいなと感じています。野球の怖さを知ったというか......ただ最初の頃に比べたら、今は冷静にプレイできている自分もいます」
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