プロ野球開幕1カ月。解説者7人が選ぶ「3大ニュース」 (3ページ目)
◎吉井理人(元日本ハムコーチ)
①社会人出身ルーキーの活躍
②巨人リリーフ陣の崩壊
③広島の躍進
「今年はルーキー投手の活躍が目立っています。なかでも、ロッテ・石川歩(5試合、3勝1敗、防御率1.19)、オリックス・吉田一将(3試合、2勝0敗、防御率1.65)は、さすが社会人出身の投手だなと感心しました。彼らに共通しているところはマウンドでの落ち着きです。ボールが先行しても慌てる素振りを見せません。コントロールに自信がある証拠なのでしょうが、1年目のピッチャーとは思えない冷静さがあります。一方、逆の意味で驚いたのが巨人リリーフ陣の崩壊です。山口哲也(10試合、0勝2敗、防御率9.00)、マシソン(15試合、2勝2敗4S、防御率6.60)、西村健太朗(12試合、1勝1敗5S、防御率3.65)の3人が揃って不調とは誰も想像しなかったと思います。選手層の厚さで何とか今の順位(3位)をキープしていますが、リリーフ陣がこのままの調子だと厳しい戦いになるかもしれません。その巨人がもたついている間に、セ・リーグの首位を走っているのが広島です。シーズン前から評判は良かったのですが、4月を終えて首位にいるとは思いませんでした。その原動力はリリーフ陣です。中田廉(9試合、2勝0敗、防御率0.00)、一岡竜司(13試合、1勝0敗、防御率0.00)、永川勝浩(12試合、1勝0敗、防御率1.54)、ミコライオ(11試合、0勝0敗8S、防御率0.87)の4人の活躍は素晴らしい。ボールに力があって、コントロールもいいので、点を取るのは至難の業だと思います。彼らの存在が、先発陣はもちろん、攻撃陣にも大きな影響を与えているのは間違いありません」
◎槙原寛己(元巨人)
①阪神の好調ぶり
②レスリー・アンダーソン(巨人)の活躍
③阿部慎之助(巨人)の不振
「広島の躍進は開幕前からある程度予想していましたが、いい意味で予想を裏切られたのが阪神です。正直、ゴメスがダメだったら首位争いはしていないと思うんです。それだけゴメスの存在は大きいです(打率.325、5本塁打、34打点)。ただ、キャンプ、オープン戦を見て、ここまで活躍すると予想した人はほとんどいなかったでしょう。調整不足は明らかでしたから。でも、シーズンが始まるとあの活躍ですからね。本当に外国人選手はわかりません(笑)。外国人でもうひとり期待を裏切ってくれたのが、アンダーソンです。最初キャンプで見た時は打ち方もぎこちなく、インコースの球に苦労するだろうなと思っていました。それがシーズンに入ると、インコースの球は腰をうまく回転してさばくし、外の球もうまく対応できる。変わり身の大きさに驚きました。その一方で、チームメイトの阿部慎之助は開幕から苦しんでいます(打率.218、4本塁打、6打点)。阿部もベテランですので、常に体調が万全という日はないと思います。それでも、ここまで打てないとは予想していませんでした。巨人は彼が中心にいないとダメなチームですので、これからどんな巻き返しを見せてくれるのか楽しみです」
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