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阪神・マートン&ゴメスが挑む「外国人コンビ」史上初の快挙とは? (4ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 横山雅樹●写真 photo by Yokoyama Masaki

―― 伊勢さんが近鉄の打撃コーチ時代、クラークとローズが揃って活躍をしました。

「最初はお互いに口をきかなくてね。ローズはちゃらんぽらんな性格で、真面目に練習しているクラークを見ると、どうしても茶化してしまうんです。それにクラークが怒ってしまった。僕が、藤井寺球場のライトにあるブルペンにふたりを連れて行って、握手をさせて仲直りをさせたんです。それから良くなったよね(笑)」

 ゴメスとマートンに話を戻すと、ここまでふたりの関係は良好なようだ。阪神の黒田正宏ヘッドコーチは言う。

「ゴメスに精神的なストレスがたまらないようにケアしています。外国人選手が成功するか否かは、精神面がほとんどですから。その点でマートンの存在は大きいです。ゴメスにアドバイスしている姿をよく見かけます」

 また、ヤクルトのあるチーム関係者はゴメスの活躍について、次のように語る。

「オマリーの存在も大きいと思いますよ。マートン、ゴメスとよく3人で話していますよ。先日、マートンのティーバッティングを見ていたら、高低をいろいろと調節して打つんですよ。で、ゴメスもそれを真似て同じように練習している。あの光景を見た時に、何か感じるものがありましたね」

 伊勢コーチも続く。

「マートンはキャンプで見た時もいろいろと考えてバッティングをしていた。彼は日本の野球を研究し、その結果、成功した。そのマートンがゴメスに『自分を少し変えないと、日本で成功するのは難しいぞ』と助言したのかもしれないね。ゴメスもプライドを捨てて、マートンのアドバイスを受け入れたのでしょう。ヤクルトのバレンティンとミレッジ(現在、二軍で調整中)のコンビもいい関係を保っているけど、ミレッジは『オレはオレのやり方でやる』ってところがまだあるんだよね(笑)」

 ゴメスとマートンは4月にそれぞれが29打点を記録し、チーム歴代外国人月間最多打点記録(68年8月にカークランド、86年6月にバース)に並んだ。さらに、阪神で月間29打点以上を複数の選手が挙げたのは、リーグ優勝を果たした2005年5月の今岡誠(33打点)、金本知憲(29打点)以来、2度目のことだった。

 先述したように、これまでの外国人コンビのシーズン最多打点は、2008年のローズ、カブレラの222打点。ちなみに、ともに3割を放ち、なおかつ100打点以上をマークした外国人コンビはこれまで一度もない。ゴメスとマートンがこのまま好調を維持すれば、史上初の快挙の可能性も十分にある。同時にそれは、阪神が優勝に近づくことを意味している。

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