2014.05.01

驚異の対応力。阪神・ゴメスの快進撃はまだまだ続く

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 横山雅樹●写真 photo by Yokoyama Masaki

 DeNAの中畑清監督は4月26日の阪神戦の前に、あきれたようにこう言い放った。

「他のチームがあまりにも打ちすぎるんだよな。とにかく、イケイケでいくしかない。ビッグイニングを作らないと勝てないんだから」

 中畑監督が言う「打ちすぎるチーム」の象徴が阪神打線で、4月30日現在、チーム打率.295、得点171はいずれもリーグトップ。そして、その阪神打線の”不動の4番”に君臨しているのが、新外国人のマウロ・ゴメスである。

開幕から27試合連続出塁の球団記録を更新したゴメス。

「キャンプ、オープン戦の時は心配していたけどね。体調も不安だったし、それに日本の投手は打者の弱点を突くピッチングをしてくるから、はたして対応できるのかなと……」

 阪神の黒田正宏ヘッドコーチはそう言って笑顔を見せた。

 実際、開幕前に今のゴメスの活躍を想像できた人は、はたしてどれぐらいいたのだろうか。夫人の出産に立ち会うため、キャンプへの合流が二度も遅れ、来日してもバットを振る姿はほとんど見かけなかった。2月20日の紅白戦は体調不良で欠場。2月23日の中日とのオープン戦は試合直前まで練習しながら、右ヒザ裏の痛みを訴えて病院に直行。翌日の練習には参加したものの「足がイタイデス」と早退。

 こうした事態に、渉外担当者が右の大砲タイプを調査するために渡米したという報道も流れ、中村勝広GMは「ゴメスは一塁しか守れない。サードは無理だ」というコメントを残す始末。ゴメス報道は連日のように暗雲がたちこめていたのである。

 その後なんとか実戦に参加するも、オープン戦の出場はわずか4試合。成績も14打数2安打(打率.143)、6三振。マイナーの3Aとはいえ、3年連続で20本塁打以上を放った面影はなかった。阪神ファンの中には、昨年のブルックス・コンラッド(24試合に出場し、打率.175、0本塁打、0打点)の悪夢を思い出した方も多かったのではないだろうか。「5月までいるのか?」というジョークも、本当に笑えない状況になっていた。