大谷翔平のプロ1年目。「二刀流」挑戦は成功だったのか? (2ページ目)
しかし数字を精査してみると、決定的な違いが見えてくる。
ダルビッシュは先発した14試合のうち、12試合で100球以上を投げ、9試合で7イニングス以上を投げている。完投は2試合、うち1試合は完封で、成し遂げたのは9月だ。
一方の大谷は、先発した11試合のうち、100球以上を投げたのは4試合、7イニングスを投げたのは1試合だけで、完投はない。早めの交代が目立ち、大事に使われていたことが窺(うかが)える。
プロ1年目の松井はオープン戦で三振の山を築き、開幕は二軍で迎えた。5月には一軍に上がり、デビュー戦でプロ第1号を放ったものの、6月には再び二軍落ち。1年目に放った11本のホームランのうち、10本を8月31日からの試合で打っている。今シーズンの大谷もオープン戦で結果を残したとは言い難いものの、開幕戦では高卒ルーキーの野手として、1988年の立浪和義、2006年の炭谷銀二朗以来、史上12人目のスタメン出場を果たした。その試合でいきなりヒットを放つなど、大谷はバッターとして積極的かつ勝負強いバッティングを披露してきた。しかし、6月終了時点で.348あった打率が8月の終わりに.301となり、最終的には.233にまで下がってしまった。9月以降は45打数6安打、打率は.133で、ホームランが1本。9月10日にバファローズの金子千尋から放ったその一発以降は不振に喘(あえ)ぎ、33打数2安打、打率は.061と、結果を出せない打席が続いた状態でシーズンを終えた。
右肩上がりで1年目を終えたダルビッシュと松井は、ともに2年目、飛躍的に数字を伸ばしている。ダルビッシュの2年目は25試合に登板し、12勝5敗、防御率2.89。松井の2年目は全試合に出場し、打率.294、ホームラン20本、打点66。では、シーズン終盤、カベにぶつかった大谷の2年目は、この数字に近づくことができるだろうか。
大谷は、シーズンを終えて、こうコメントした。
「すごくあっという間でした。個人的には変に打って満足するより、悔しいまま終わった方がいい。その方が来年につながりますし、これから上を目指して頑張るだけです」
悔しいまま1年目を終えたと、大谷はそう言った。
もちろん、本音だろう。
しかし、忘れてはならない。投手としてダルビッシュの1年目と、野手として松井の1年目とさして変わらない数字を残したのは、ひとりの選手なのだ。悔しいという大谷自身の気持ちは尊重するとしても、高卒1年目としては十分な結果を残したのではないかと思う。
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