2013.08.06

投手の「球数制限」「イニング制限」は本当に必要なのか?

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吉井理人の「投究論」 第4回

 甲子園大会のたびに取りざたされる球数問題。近年ではプロでも高い関心が寄せられ、メジャーでは今年5月にテキサス・レンジャーズのロン・ワシントン監督がダルビッシュ有に130球(8回)を投げさせ、一部メディアから「投げさせ過ぎだ!」と批判の声が上がり、大きな話題を呼びました。

昨シーズン、チームはプレイオフ進出したにも関わらず、イニング制限により9月上旬でシーズンを終えたワシントン・ナショナルズのストラスバーグ

 メジャーでは、先発投手が同じペースで1年間ローテーションを守ることを最優先させるため、1試合100球を目安に交代することが一般的です。そもそも、なぜ100球なのか? 科学的に証明されているわけでもないでしょうし、個人差もあるので、100球がベストだとは思いません。これは僕の経験談ですが、80球投げるのも120球投げるのも、疲労度は変わりません。回復力はだいたい同じです。

 その中でひとつ考えられるのが、メジャーは先発、中継ぎ、抑えと分業制が確立されていて、先発は6回を投げくれればいいという考えがあります。大体、6回を投げ切れば100球前後になる。そのあたりから100球という発想になったのではないでしょうか。しかし、エース級の投手は違います。

 僕がメジャーにいた頃(1998~2002年)からエース級のピッチャーは120球ぐらい投げていました。フィラデルフィア・フィリーズやアリゾナ・ダイヤモンドバックスで活躍したカート・シリングなんて、「投手は完投すべき」という持論があって、平気で130球以上は投げていましたね。

 また、90年代に黄金時代を築いたアトランタ・ブレーブスの投手コーチだったレオ・マゾーニーは、「先発投手の球数は最大で125球」と言い、当時エースだったグレッグ・マダックスやトム・グラビンもその球数を目安にしていたと思います。でも彼らは125球を投げる前に完投していましたけどね(笑)。