今年の阪神は「死のロード」に耐えられるか?

  • 岡部充代●文 text by Okabe Mitsuyo
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 オールスターゲーム前、セ・リーグ2位の阪神は、首位・巨人とのゲーム差を2.5まで詰めていた。直前に巨人との直接対決があったのだが、3連戦の最後のひとつを取って、かろうじて3連敗を阻止。この流れが1985年に似ていると、和田豊監督は話していた。

後半戦のスタートでつまずいた阪神。和田監督は長期ロードとなる8月をどう乗り切るのか後半戦のスタートでつまずいた阪神。和田監督は長期ロードとなる8月をどう乗り切るのか 85年も、オールスター前最後の3連戦を2位で迎えた。相手は首位の広島。ゲーム差は2。連敗して4ゲームに広がったが、3戦目を取って3ゲーム差で前半戦を終えた。「最後のゲームで『3』にして終わるか、『5』になるか。『3』になったとき、これは行けるという雰囲気でオールスター休みに入ったよ」と和田監督は振り返った。

 球団が唯一、日本一に輝いた85年と似ているとなれば、これは『吉兆』かと思われたが、今年はそれほど甘くなかった。後半戦に入ると、阪神は最初の3カードを2勝6敗と大きく負け越す。一方の巨人は7勝1敗。ゲーム差は7.5まで広がった。「死のロード」に入る前に、瀕死の状態になった虎――。ここからもう一度、巨人に食らいつくことはできるのだろうか。

 そもそも「死のロード」という言葉は、今の時代には当てはまらない。移動も宿泊も、昔とは違って快適な環境が整えられているし、京セラドームでの6試合は自宅から通うことができる。甲子園球場で試合ができないという意味で「長期ロード」ではあるけれど、そこに負のイメージを持つ選手は、もはやいないと言っていい。

 ならば、勝ち越さなければいけない。巨人との差が広がった上に、その巨人はなかなか負けてくれないのだから、阪神は勝って、勝って、勝ちまくるしかないのである。過去10年で8月の長期ロードの勝率が最も高かったのは、2007年の.600(12勝8敗1分け)だが、これでは足りない。もっと圧倒的な強さを見せなければ、逆転Vは難しいだろう。

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