今や巨人のエース！　評論家７人の「菅野智之」論 (2ページ目)

◎与田剛氏（第２回、３回ＷＢＣ日本代表投手コーチ）

「ストレート、変化球、すべての球種でストライクが取れるのが最大の強みです。そして速さを追求していない。１年目なのに勝つためのピッチングができている。つまり、いろんな引き出しを持っている。すでに何年もプロで活躍している投手のような風格がありますね。いまや巨人投手陣になくてはならない存在ですよね。このままローテーションを守れば、順調に白星を積み上げるでしょうし、最多勝も十分に狙えると思います。ただ菅野に関しては、何勝するかというより、どんなピッチャーになるのかが楽しみです。近い将来、巨人を背負って立つピッチャーになることは間違いない。彼にはそれぐらいのスケールの大きさを感じます」

◎槙原寛己氏（元巨人）

「あれだけ注目される中で、これだけの結果を出すんですからたいした選手ですよ。スピード、コントロール、変化球のキレはもちろんですが、けん制やフィールディングなど、投手に必要なものをすべて備えています。だから大きく崩れることがないし、失点も少ない。阿部（慎之助）の難しい要求にもしっかり応えていますし、完成度の高さはずば抜けています。唯一、不安を挙げるとすれば、１年を通して週１回のペースで投げ続けた経験がないこと。特に、これから夏場に向けてはスタミナの消耗が激しくなります。その時に、どういったトレーニングをして、どんな食事をするのか。コンディション作りが非常に大事になってきます。菅野にとってこれは未知の領域ですので、これからのピッチングに注目しています」

◎吉井理人氏（元日本ハム投手コーチ）

「菅野のすごいところは、バッターのどこに投げれば抑えられるということを知っていて、そこにきっちり投げることができる。イメージとしては小宮山（悟）にダブるものがありました。小宮山はカーブやスライダーを使ってバッターを打ち取るタイプだったんですが、菅野も同じようにタテの変化、横の変化を上手に使う。ただ、最近の菅野のピッチングを見ていて、小宮山よりもパワーがあるなと......（笑）。とはいっても、パワーだけに頼らない非常にクレバーな投手です。フォームに関しても、ケガをしなさそうな投げ方をしていますし、何より自分のフォームを確立している。大学でのキャリアを終え、プロに入ってくるまでの間に調子を落としたり、フォームを崩したりする投手は結構いるんです。でも、菅野にはそうしたところがまったく見当たらない。そう考えると、１年間の浪人は決してムダではなかったと思いますよ。投げ方が安定しているから、自分の投げたい球を投げられる。１年目の投手でここまで安定している投手はなかなかいません。日本ハムのコーチ時代はひとりもいなかったですし、近鉄時代の野茂（英雄）でさえ安定してきたのは２年目か３年目でしたから。とにかく完成度の高さでいうと、ルーキーの中では断トツです。でも、まだ伸びしろがある。この先、どれだけ凄いピッチャーになるのか本当に楽しみです。まさしく10年にひとりの逸材。投手と打者の違いはありますが、原（辰徳）監督を超える選手になるでしょう」