交流戦2位。楽天の強さはホンモノか?

  • 阿部珠樹●文 text by Abe Tamaki
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

リードだけでなく、バッティングでもチームを引っ張る嶋基宏リードだけでなく、バッティングでもチームを引っ張る嶋基宏 交流戦を15勝9敗の2位で終えた楽天。パ・リーグの順位でも、首位ロッテに2ゲーム差の2位と好位置につけている。ただ、交流戦の成績を見ると、チーム打率.257は12球団中6位、チーム防御率3.28は7位と特別傑出しているわけでもない。それでもこの結果を残している理由は何か? 評論家の与田剛氏は今シーズンの楽天についてこう語る。

「アンドリュー・ジョーンズの加入は大きかったですね。昨年は4番を任せられる打者がいませんでしたが、今年はジョーンズが不動の4番として活躍している。彼が4番に座ることでチームに安心感を与えています。打率は低いけど、出塁率が高く、貢献度という部分では計り知れない。後ろを打つマギーが高打率を残しているのも、ジョーンズが塁に出て、ヒットゾーンを広げてくれているからだと思いますよ」

 現在、ジョーンズは打率.239だが、この数字はパ・リーグの打率30傑に入っていない。しかし、出塁率.408はリーグ3位で、四球51個は堂々のトップである。仁村徹チーフコーチはジョーンズ効果について次のように言う。

「メジャーで400本以上も本塁打を打っている打者なので、一発を狙いにいっても不思議ではありません。でも、ボール球を無理に打ちにいかず、自分の打てる球だけを狙う。ジョーンズのそうした姿勢に影響を受けている選手は多いです。いい意味でチームを変えてくれました」

 打線の軸がジョーンズなら、投手は開幕からここまで(6月18日現在)無傷の9連勝を飾り、防御率1.57(リーグ2位)の田中将大だ。今シーズンの田中について与田氏はこう説明する。

「調子は決して良くないのですが、とにかくボールを低めに集めて、なかなか点を与えない。そうした粘り強さがこの結果につながっている。昨年はケガもあってシーズンをフルに戦えなかった。その悔しさがあるのでしょう。うまくペースを考えながら投げています。それでも抑えるべきところはしっかり抑えているので、さすがエースのピッチングです」

 エースと4番、このふたりが中心となってチームを牽引しているのが好調の要因になっているのは間違いない。だが、多くの評論家たちが今季の楽天について語る時、もうひとり必ず名前の挙がる選手がいる。それが捕手の嶋基宏だ。

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