吉井理人が語る「日本人投手がメジャーで成功するための条件」

  • スポルティーバ●構成 text by Sportiva
  • photo by AP/AFLO

現地4月25日の試合に勝利し、野茂英雄のメジャー通算123勝に次ぐ60勝を挙げた黒田博樹現地4月25日の試合に勝利し、野茂英雄のメジャー通算123勝に次ぐ60勝を挙げた黒田博樹 1995年に野茂英雄がメジャーに挑戦したのを機に、多くの日本人選手が海を渡った。今シーズンも藤川球児(シカゴ・カブス)、中島裕之(オークランド・アスレチックス)、田中賢介(サンフランシスコ・ジャイアンツ)が挑戦しており、これからもその流れは続くだろう。その一方で、厳しいメジャーの世界を目の当たりにし、夢破れて帰国する選手も少なくない。では、メジャーで結果を残せる選手、残せない選手の差はどこにあるのか? かつてメッツ、ロッキーズ、エクスポスでプレイした吉井理人氏に日本投手がメジャーで成功する秘訣を聞いた。

 私も1998年から2002年までの5年間メジャーでプレイし、32勝(47敗)を挙げることができました。成績自体に満足はしていませんが、ずっと憧れだったメジャーのマウンドに立てましたし、ローテーション投手にもなることができました。そのことについては、自分でもよくやったなと思っています。

 よく日本とメジャーの違いで言われるのが、ボール、マウンドの硬さ、移動、時差、登板間隔などです。おそらく最初に直面するのがボールの違いでしょう。メジャーのボールは縫い目が高く、表面が滑りやすい。それに日本のボールよりも大きい。これまで日本のボールに慣れ親しんだ投手にとっては、メジャー球はとても厄介なボールだと思います。私は、とにかくメジャーリーガーになりたかったので、あのボールで投げることが楽しかったし、扱いにくいと思ったことはありませんでした。ただ、キャンプ後半だったと思うのですが、急に腕が張りだして、投げることができない。自分では意識していなかったんですけど、日本にいた時よりもボールを強く握っていたため、これまで使ったことのない筋肉を痛めてしまったんです。その時は、「やっぱり日本のボールとは違うんだ」と思ったぐらいで気にすることはありませんでした。むしろ、その難しいボールを操るにはどうすればいいのかを考えていましたね。

 昔に比べ、今は情報がすごく発達しています。当時、メジャーのボールは滑りやすいとか、投げにくいとか、そうした情報はほとんどありませんでした。でも今は、「メジャー球=滑る」と認識されています。そのことに対して、敏感になり過ぎているというか、考え過ぎのような気がします。確かに、最初は戸惑うかもしれませんが、メジャー球にもメリットがあります。

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