今季初の最下位も、横浜DeNAの未来は明るい
不動の1番打者として高い出塁率を誇る石川雄洋 連続日本一を狙う巨人が順調に首位をひた走るセ・リーグにあって、新鮮な驚きを持って見られているのが、昨年まで5年連続最下位の横浜DeNAベイスターズだ。開幕から1カ月が経過したが、ここまで11勝16敗(成績はすべて4月29日現在)。昨日のヤクルト戦の敗戦で今季初めて最下位に転落したが、昨シーズンの3、4月の成績が6勝16敗1分だったことを考えれば、まだまだ巻き返しのチャンスは十分にある。何より、ライバルたちの証言が、今年の横浜の明らかな変化を物語っている。
「今年はよく打つという印象がある。マークする選手は徹底して攻めたい」(中日・谷繁元信)
「いい補強をしているし、素晴らしいチーム。昨年より打線は確実に上だと思う」(巨人・澤村拓一)
この一番の要因は、今シーズン中日から移籍してきたトニー・ブランコの存在だ。5試合連続を含む両リーグ最多の14本塁打を放ち、打率はリーグ3位の.354、打点もチーム総得点(106点)の3分の1以上を占める33打点(リーグ1位)をマーク。期待通り、いやそれ以上の活躍を見せ、チームに刺激を与えている。
昨年チーム打率.233、1試合平均得点2.93だった打線は、ここまで打率.251、1試合平均得点3.93と大幅にレベルアップ。これを見てもわかるように、ブランコ効果は絶大だ。だが、ブランコの活躍だけが特別なのかといえば、実はそうではない。
「絶対的な4番がいるのは大事なことだけど、それと同じぐらい大切なのが1、2番の出塁なんです。いいチームというのは、1、2番がしっかりしている。彼らが出塁することでクリーンアップが生きますからね。そういった意味で、今年のチームはいいように機能している」
こう語るのは、90年代後半のベイスターズ全盛期に石井琢朗(現・広島コーチ)と1、2番コンビを組み、チームを牽引していた波留敏夫バッティングコーチだ。
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