2013.05.05

長嶋茂雄、松井秀喜。語録で振り返る「師弟20年」

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • 久保田龍雄●協力 cooperation by Kubota Tatsuo

松井秀喜は昨年の引退会見で20年のプロ生活で「最も印象に残っているシーンは?」の問いに、「長嶋監督と素振りしたこと」と答えた 昨年末、現役引退を発表した松井だが、彼のプロ生活はまさに長嶋氏とともに歩んだ20年だったと言っても過言ではない。長嶋茂雄と松井秀喜――今回、国民栄誉賞を受賞したふたりの20年をあらためて振り返ってみたい。

 夏の甲子園で5打席連続敬遠されるなど、高校球界屈指のスラッガーとして注目を集めていた石川・星稜高校の松井秀喜。その松井がドラフトを迎えた1992年秋、時を同じくして長嶋茂雄が12年ぶりに巨人の監督に復帰した。当初、巨人は阪神を熱望している松井を避け、伊藤智仁(元ヤクルト)を1位で指名するつもりだったが、長嶋監督の「(松井を)1位で指名しないどうする」のひと言で松井の1位指名が確定した。

 運命のドラフト当日――巨人をはじめ、阪神、中日、ダイエー(現ソフトバンク)の4球団が松井を1位で指名し、抽選の結果、松井を引き当てたのは長嶋監督だった。ドラフト後、長嶋監督は開口一番こう語った。

「振りのシャープさ、遠くへ飛ばす能力。まさに10年にひとりの素材ですよ。大事に育ててみたい」

 一方の松井は、「そりゃあ、阪神ファンですからね。(昔は)巨人は憎いと思っていました。でも、長嶋さんが巨人の監督になられてからその気持ちは変わりました。これまでは阪神でやりたいと思っていましたが、その気持ちも徐々になくなっていくと思います」と、事実上、巨人入りを表明した。また、長嶋監督から直接電話をもらった松井は、「テレビのままの声でした。嬉しかったです」と、憧れの人に会える日を心待ちにしていた。

 初対面を果たしたのは92年12月25日、入団発表の席だった。長嶋監督の「必ず巨人の中心選手になってくれるはず。ファンのためにも早くレギュラーを獲得してほしい」というエールに、松井は「ファンや子どもたちに夢を与えるプレイヤーになれるよう一生懸命頑張ります」と力強く語った。