脅威の奪三振率。ソフトバンク・千賀滉大こそ和製ライアンだ! (3ページ目)

  • 田尻耕太郎●文 text by Tajiri Kotaro
  • 繁昌良司●写真 photo by Hanjo Ryoji

 そして3年目のシーズンを前にした今年1月の自主トレでは、フォーム改良に積極的に取り組んだ。昨年は初めてのことで見様見真似で取り組んだが、成果が出たことで自ら質問する回数も増え、吸収力も格段に上がっていた。

「ポイントはセットポジションの時の立ち方。腕を絞るように構えることで、体の"ライン"が決まるんです。そして、投げる時に体が反り返らないように、上半身の角度に気をつけています」

 4月11日のロッテ戦(ヤフオクドーム)で155キロを計測した際、捕手を務めていた細川亨が、「他の投手にはない球質を千賀は持っている。これまで受けたことのない感覚なんです。特にあの球に関しては、例えど真ん中でも、相手が誰であっても、100%打たれることはないと思いました」と語るほどの一球だった。

 千賀自身も、今は細かなことは考えず、とにかく腕を振ることだけに集中している。

「ほとんどの投手は最低でもストライクゾーンを、外角と内角、高めと低めの4つに分けて考えますが、今の僕は外角と内角のふたつだけ。良いボールがいけば、何とかなる」

 その11日にプロ初のホールドを記録。これまで敗戦処理だった役割から、その日を境に使われ方が明らかに変わった。

「今はどんな場面でも投げることが楽しい。それだけです」

 セットアッパーや抑えへの欲は見せなったが、投げる度に周囲の評価は変わっていく。アベノミクスもビックリの千賀滉大の株は、なお急騰中である。

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