【プロ野球】藤浪晋太郎の開幕ローテーション入りは正解なのか? (2ページ目)
「私も高校時代の藤浪くんを何度も見ていますし、実力が抜けていることはもちろんわかっています。実際、キャンプ、オープン戦と結果も残している。ただ、1年目だけでなく、10年、20年と第一線で投げ続けることを考えると、高卒ルーキーはファームからスタートするのが個人的にはいいんじゃないかと思っています」
具体的な理由として、「プロの長いシーズンを考えた時に、やはり気になるのは故障」と体の問題を挙げ、そして続けた。
「藤浪くんの素材が超A級なのは間違いない。でも、その素材を薄味のまま一軍に上げるのか、マエケン(前田健太)のようにじっくりファームで煮込んでから一軍に送り出すのか。もちろん、それぞれのチーム事情、考え方があるでしょうが、私はじっくり煮込んでからの方が好きですね」
宮本氏が担当スカウトとして単独1位指名で獲得した前田の1年目は、ファームのローテーション投手としてシーズンを終えた。一軍に昇格したのは2年目からで、6月にプロ初勝利を挙げるとこの年9勝をマーク。その後も順調に成長を続け、今や日本を代表するエースにまで上り詰めた。
また、高卒ルーキーながら昨年ブレイクした釜田佳直(楽天)は交流戦中の5月から一軍に合流し、武田翔太(ソフトバンク)もキャンプは体力強化を目的とした三軍からのスタートで、一軍に昇格したのは7月からだった。宮本氏はファームからスタートする意味を次のように話す。
「出足は順調にいったとしても、躓(つまず)いた時に下から積み上げたものがないから一気に崩れてしまう怖さがある。それとプロ野球の世界というは特別なものです。この世界のことをいろんな意味で知るためにも、ファームからのスタートがいいんじゃないかと思います」
一方で、「プロは実力の世界。高卒だろうが、1年目だろうが、力のある投手は使う。当たり前のことですよ」と言い切ったのは権藤博氏。横浜(現・横浜DeNA)の監督として1998年に日本一を達成し、投手コーチとしても名を馳せただけに、その言葉にも説得力がある。そして藤浪についても、次のように語った。
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