【WBC】侍戦士28名決定。山本監督はこのメンバーでどう戦い抜くのか? (2ページ目)

  • 柳川悠二●文 text by Yanagawa Yuji
  • 益田佑一●写真 photo by Masuda Yuichi

 先発三本柱の一角に予定していた前田健太も右肩の不安を抱え、17日の試合では明らかに右肩に負担をかけないよう細心の注意を払いながらマウンドに上がっていた。さらに田中将大も、広島戦では2失点して、決して万全とはいえない。開幕までに内海哲也を含む先発候補の状態が悪ければ、前回大会で1点も許さず、球数制限のあるWBCに誰より適合する杉内俊哉や今合宿で好調をうかがわせた能見篤史、澤村拓一らに先発を任せるプランも考えなければならないだろう。

 また、浅尾の離脱によって、抑えを託す投手もいまだ決まっていない。山本監督は「状態を確かめながら、これから決めていきたい」と話すが、先発の柱が決まらない以上、誰に第2先発を託し、誰に締めくくる役割を任せるかも決められない。涌井秀章や攝津正などは、先発(第2先発)なのか、抑え(セットアッパー)なのか、役割が宙に浮いた状態である。首脳陣の一刻も早い決断を投手陣は待っているに違いない。

 第2回大会において原辰徳監督らは、守護神の藤川球児が不振と見るや、準決勝から先発のダルビッシュ有をストッパーに配置転換した。こういうスクランブル体制が築けたのも、残る松坂大輔と岩隈久志の先発陣に信頼を寄せられたからだ。山本ジャパンにとってまずは先発陣の整備が急務であることは間違いない。

 一方、野手で選考漏れとなったのは、村田修一、大島洋平、聖澤諒の3人。特に、山本監督が代表選考で頭を悩ませたのが外野手だった。大島と聖澤はともに守備力に定評があり、昨年のセ・パ両リーグの盗塁王で足も速い。1点が欲しい場面での代走や、終盤の競った場面での"守備固め"に起用できる貴重な外野手だけに、どちらかは残ると目されていた。ヒジの故障を抱える大島の落選は想定内だったにしても、「外野のスペシャリスト」である聖澤を落としたことで、今後の戦いに影響は出ないだろうか。昨年まで日本ハムの投手コーチを務めた吉井理人氏が、メンバー発表の1週間前に語っていた次の言葉が気にかかる。吉井氏はベンチから見ていた聖澤の印象について次のように語っていた。

「センターの守備に関して言えば、12球団ナンバーワンだと思います。ポジショニングも素晴らしいし、一歩目のスタートが速いから守備範囲がものすごく広い。そしてランナーとしての足。彼の場合、速さだけでなく、投手のクセや配球を読む技術がある。ここ一番の場面で勝負できるタイプの選手です。一発勝負の戦いになれば、貴重な戦力になると思います」

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