【プロ野球】有望アマ選手のメジャー挑戦は、
本当に日本球界を空洞化させるのか? (2ページ目)
ドラフト1位確実なアマチュア選手がメジャーの球団と契約することに対し、日本ではどうやら「メジャーに逸材をさらわれてしまう」「日本球界に人材が枯渇(こかつ)する」といった類のネガティブな発想しか浮かばないらしい。だから、こんな馬鹿げたルールを作ったりする。
4年前、NPBの実行委員会は、有力なアマチュア選手の海外流失を防ぐための手だてのひとつとして、日本のプロ野球を経ずに外国のプロ球団と契約した選手に対し、日本球界に復帰を希望する際の制限を科すことを決めた。ドラフト対象となるアマチュアの選手がNPBのドラフト指名を拒否して外国球界でプレイ、その後に日本へ帰ってきた場合、高校生は帰国から3年間、大学・社会人は2年間、ドラフト指名を凍結するのだという。
これは当時、ドラフトでの1位指名が確実視されていた新日本石油ENEOSの右腕、田澤純一がメジャーリーグ挑戦の意思を表明し、日本のプロ全球団に指名しないようお願いしたことに端を発している。いわばNPBが取った、メジャー行きを希望するアマチュア選手に対する対抗手段だった。しかしながら、NPBが「アメリカでダメだったときに日本にすぐに戻れないようにすれば海外流出の抑止力になる」とか「ダメだったら日本に戻ろうなんてそんな虫のいい話はない」とか、これから挑戦しようという若者に対してダメだった時のことを前提にモノを言っているのが情けない。このルールは、日本のプロ野球を袖にしたアマチュア選手に対して、「それ見たことか」「後悔しても後の祭りだぞ」というNPBの恫喝(どうかつ)に等しい。まったく器が小さいというか、度量が狭いというか、選手を野球界の財産だと思っているのなら、こんな報復まがいのルールを作るべきではないだろう。メジャーを目指したアマチュア選手が日本に戻ろうとすることを虫がいいと思うのなら、その時点で獲得しなければいいだけの話で、何も明文化する必要はない。つまり、これは見せしめのためのルールなのだ。そんな馬鹿げた態度こそが、結果的に自分たちの首を絞めることになるということに、なぜ気づけないのだろう。
そもそも、たとえばドラフト1位クラスの高校生が日本のプロを経由せず、いきなりメジャーの球団と契約することが本当に日本の球界を空洞化させるのだろうか。
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