「投手・大谷翔平」をドジャースが休止し続ける背景と「二刀流」復活へのカギ (3ページ目)
【今後の二刀流のカギを握るのは状態の見極め】
しかしながら、大谷自身の会見での話しぶりや、7月31日の試合で見せた走塁を見ていると、少なくとも今季中の投手復帰は決して簡単ではないように感じる。
最後の実戦登板は7月3日のパドレス戦。すでに約1カ月が経過した。しかも7月末の時点で、軽度のキャッチボール再開には至っていない。ここから本格的なキャッチボール、ブルペン投球、打者を立たせた実戦形式、必要であればリハビリ登板と段階を踏まなければならない。
目標を9月末やポストシーズンに置いたとしても、残された時間に余裕があるとは言えない。チーム事情を考えても、投手復帰を急ぐ必要性は高くない。先発陣には山本由伸、佐々木朗希、ジャスティン・ロブレスキーがおり、離脱していたブレーク・スネルやタイラー・グラスノーも復帰へ向かっている。
一方、長打力と出塁能力を兼ね備えた「1番・大谷」の代役はいない。今は投手としてマウンドへ戻ること以上に、不安なく走り、打者として本来のパフォーマンスを維持できる状態を取り戻すことの方が重要ではないだろうか。
実際、大谷も7月28日の会見で現時点の走塁の難しさを語っている。
「100%走れると思ってセーフになると判断したところでも、スピードが出なければ一発でアウトになるケースがある」
フリードマン編成本部長は「今、球団にとってより重要なのは投手・大谷なのか、それとも打者・大谷なのか」と問われると、こう答えた。
「どちらがより重要か、という比較は難しい。どちらも私たちにとって非常に重要です。理想は彼が投打の両方で圧倒的な活躍をすること。私たちが望んでいるのは、できるだけ長く、できるだけ高いレベルで、彼が投打の両方を続けられるように手助けすることです」
それはあくまで基本方針だろう。だがいつも理想どおりにいくわけではない。今回のように、一方への負荷がもう一方に影響を及ぼす可能性も見極め、必要であれば立ち止まり、投打のバランスを調整していかなければならない。
32歳の二刀流に求められるのは、限界まで力を振り絞ることではない。投打の両方をできるだけ長く続けるために、進むべき時と立ち止まるべき時を見極めることだ。30代の二刀流という前例のない挑戦は、今まさに新たな局面を迎えている。
著者プロフィール
奥田秀樹 (おくだ・ひでき)
1963年、三重県生まれ。関西学院大卒業後、雑誌編集者を経て、フォトジャーナリストとして1990年渡米。NFL、NBA、MLBなどアメリカのスポーツ現場の取材を続け、MLBの取材歴は26年目。幅広い現地野球関係者との人脈を活かした取材網を誇り活動を続けている。全米野球記者協会のメンバーとして20年目、同ロサンゼルス支部での長年の働きを評価され、歴史あるボブ・ハンター賞を受賞している。
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